私の彼女は親からの虐待が原因で8年間児童養護施設に入所していました。
そんな彼女に、児童養護施設で一番楽しかったこと、施設の決まり事やおこずかいなど、皆さんが把握しづらい児童養護施設の実態について聞いたのでお伝えしたいと思います。
本記事で少しでも児童養護施設に興味を持ってくれる、理解してくれる人が増えれば嬉しいです。
≫別記事で児童養護施設の一日の流れを取り上げましたので、興味がある方は是非以下のページもご確認ください。
児童養護施設で楽しかったこと

児童養護施設で一番楽しかったのはお姉さんとお兄さんとお話することです
趣味が合うお姉さん(児童養護施設では女性職員のことをお姉さんと呼びます)とお兄さん(児童養護施設で男性職員のことをお兄さんと呼びます)が数人おり、そのお姉さん、お兄さんと話をしている時が一番楽しかったです。
同年代の子は皆中学卒業とともに就職してしまい、小さい子もあまり好きではなく、上の年代の子も少なかったでの、唯一話の出来るお姉さんとお兄さんの他愛もない時間が一番楽しかったです。
あ、食堂のおじさんにはよく怖い話を聞いてました(笑)
年代によりカラーみたいなものがあり、年代次第で中卒で就職する人も少なくありませんでした。
ちなみに今まで大学進学の人は同施設ではいなかったので、彼女が初の大学進学者でした。

皆で一緒にお風呂に入るのも楽しかったです
皆で一緒にお風呂に入ると、その時に流行っている歌を皆で熱唱するなど楽しかったです。
通常は備え付けのシャンプーを使用するのですが、上の年代の人と一緒にお風呂にはいると、お姉さんが自腹で買ったちょっといいシャンプーをたまに貸してくれたりして、それも嬉しかったです。
年に一回ある部屋替えも楽しみでした
年に一回部屋替えがあり、誰と一緒になるのか?と楽しみでした。
入所していた児童養護施設では、小学生は複数人部屋、中高生は2人部屋、高校3年生で生活態度のいい人は1人部屋でした。
1人部屋になるまでは、一年間の大事なルームメイトが決まるこの行事はドキドキで楽しみでした。

皆の知らない児童養護施設の決まり事

児童養護施設で暮らす上で何個か決まり事があります。
そんな決まり事についてお伝えしたいと思います。
施設から外に出るときは外出届を毎回書く
施設の外で遊んだり、買い物に行ったりするときは、どこで、誰と、何時から何時まで、何をするということを毎回外出届に書いて職員に提出する必要がありました。
毎回外出届を書くのはめんどくさくて、しかも職員の方がその外出届を確認してからでないと外に出れないので、職員の方が忙しいときは中々外に出れないときもありました。
施設外の一般家庭でご飯をよばれていけない
友達や知り合いの家など、施設外でご飯をよばれてはいけませんでした。
なぜこの決まりがあるのかという理由についてはわかりませんでしたが、個人的にあまり外に遊びに行かなかったので気にならなかったです。
ちなみに、外泊ももちろん禁止でした。
児童養護施設にいれるのは高校卒業するまで
児童養護施設にいれるのは高校卒業まででした。
中学を卒業して就職しなかった(無職)としても、施設にいることはできません。
児童養護施設にとって、自立支援ということは大きな目標の一つなので仕方がないかと思います。
スマホや携帯電話は高校生になってから
スマホや携帯電話は高校生にならないと持つことができませんでした。
本体の購入費や毎月の使用料は自分で払うことになっており、バイトをしていないと購入が難しいので、スマホなどを持てる時期は決まりがあっても無くてそんなに関係ありませんでした。
児童養護施設のお小遣いの金額

年齢に合わせて施設から毎月お小遣いがもらえます。
ただし、どこで何にいくら使ったということを小学生の頃から帳簿を職員の方が付けてくれているので(レシートが発行される場合は一緒に添付する)、お金を使うときは毎回担当の職員の方に報告することが義務付けられてました。
また、小中学生のときは担当の職員の方がお財布とお金の管理をしていて、お金を使うときだけ必要な分をお財布にいれてもらって、余ったお金は使用後にまた職員の方に渡すというシステムでした。
高校生になると自分でお金の管理をすることができますが、引き続き帳簿を職員の方がつけてくれているので、バイト代の収入も含め職員の方への報告は施設にいる間はずっとしていました。
その他、お年玉やクリスマスプレゼント事情についても一緒にお伝えします。
小学生の毎月のお小遣いは2,000円
小学生は月に2,000円のお小遣いがもらえます。
家にいた頃はお小遣いをもらえなかったので、2,000円というお小遣いは多く感じ、とても嬉しかったです。
ただ、特に買いたいものが無かったので、2,000円はほとんど貯金していました。
中学生になるとお小遣いは毎月3,000円
中学生は毎月3,000円のお小遣いがもらえます。
中学生になると好きなシャンプーを買ってみたり、本を買うなどしていたので多くは残らなかったですが、それでも月に数百円は貯金できていたので十分でした。
高校生はお小遣い毎月4,000円
高校生になると毎月4,000円もらえます。
高校生になるとバイトをできるようになるので、すぐバイトを始めました。
校則でバイトは基本禁止されていましたが、高校を卒業すると一人暮らしになるのでそのためのお金ということで許可をもらいバイトしていました。
当たり前ですが、高校の許可をもらわないと施設からもバイトしていいという許可をもらえませんでした。
高校生になると雑誌なども買い始めたので、お小遣いはほとんど残らない感じでしたが、バイト代はほぼ丸々貯金に回していました。
誕生日の月は図書券1,000円分と映画に連れて行ってもらいました
誕生月は1,000円分の図書券がもらえました。
他に、誕生月になると施設のお金で好きな映画を見ることができ、職員の方に映画に連れて行ってもらえました。
同じ誕生月、見たい映画が一緒な人が他にいると皆で一緒に連れて行ってもらい映画を見てました。
お年玉はもらえない
お年玉はもらえませんでした。
家族がいる人は自分の家族からお年玉をもらえたりしました。
お正月帰省しないで家族に会いたくないという人は、職員の方から『お母さんからいくらお年玉が届いた』ということで連絡がありました。
クリスマスプレゼントは自分のお小遣いなどから自分で買う
クリスマスプレゼントは自分のお金で自分用のものを買うというかたちでした。
クリスマスはケーキやお菓子などが寄付されますが、一般の家庭のように欲しいものをリクエストしてそれをてもらえるというわけではないので、積み立てていたお小遣いの貯金で自分にプレゼントを買っていました。
また、寄付の内容はその時の景気に左右されるので、年々寄付の量は減る一方でした。
おやつは毎日でる

おやつは15時に毎日出ました。
おやつの量や内容については日によりまちまちで、おやつが少ないときは飴玉一つだったり、多いときはとても食べきれる量でないというときもありました。
多いときはおやつの寄付があったときになるので、年に数えるくらいしかありませんでした。
おやつが原因でお腹いっぱいになり夕ご飯が食べれらなくなること防ぐため、その人の胃の容量次第で職員の方におやつを複数回にわけて食べるよう調整されたりもしました。
公立高校なら通うことができます

高校は公立に行けば学費を支援者の方が出してくださったり、国の制度などを利用して児童養護施設に入所しながら通うことができます。
しかし、私立の学校は学費が高いため基本行くことができません。
そのため、公立の高校受験に落ちた人は就職するしかできないので、児童養護施設から退去しなければいけなくなります。
これが中卒で就職する人が多いということの一番大きな原因です。
推薦入試を除けば、公立の高校は一校しか受験できないので、一発勝負になります。
私以外の同級生のほとんどはこれが原因で退所したので、その時はとても悲しかったです。
まとめ
- 児童養護施設には決まりごとが何個かある
- 年齢ごとに決まったお小遣いを貰える
- 公立高校に落ちると児童養護施設を退所して中卒で働かなければいけない
上記は入所していた児童養護施設での話になるため、すべての児童養護施設が同じではないですが、そんなに変わらない内容だと思います。
これを機に児童養護施設に関心を持ってくれる人が一人でも増えれば幸いです。
最後までご確認いただき心から感謝申し上げます。
≫児童養護施設の一日の流れを詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。